小説

●もしも春歌が幼稚園の先生で、アイドルが園児だったら
という小説を書きました

 突然夜中に鳴り響いた携帯の着信音。私はけたたましくなるその着信音に起こされて、誰からかかってきているのかも見ることなく鳴り止まない電話を止めるためにも電話にでた。
「ふぁい・・・」
「HAHAHA〜!!! まだおネムさんでしたか〜!?」
「・・・こ、この声は・・・しゃ、社長っ!?」
「そうデース! グッドイーブ二ングデスねぇ。こんなお時間に電話しちゃって超ソーリー」
「いえ、あの、はい・・・一気に目が覚めましたのでっ、大丈夫です」
「YOUにしか頼めない、お願い事があるのよん。これ、事務所の超トップシークレットであるからしてぇ、YOUにはじぇぇーったいじぇぇったい黙っててほしいシークレットミッションなのデス!」
「は、はい。私にしか出来ないことであるのであれば精一杯努めさせていただきますが・・・」
「なっはっは。とりあえずYOUは明日の朝、早乙女幼稚園にむかってちょーダイっ」
「早乙女幼稚園? 初耳ですが・・・」
「昨日、ミーが緊急的に設立しまシタっ」
「そんな唐突に設立したんですか?」
「大人の事情があ・る・の・よ・ん。この先は明日の朝、林檎サンが説明してくれると思うのでぇ! ヨロシクお願いシマスっ!」
 一方的にまくしたてられた後、電話はプツリと切れた。社長独特の笑い声が今でも耳の中でこだまする・・・。
 それにしても早乙女幼稚園とは一体・・・幼稚園ということは・・・園児の方がいて・・・でもシークレットミッションって何をするんでしょうか・・・。

 朝になり、不安しかない状態で、早乙女幼稚園へ向かおうとしましたが昨日設立されたばかりという情報のみをいただいたのみで、どこにあるのかもわからない・・・。とりあえず事務所へ行けば何かわかるかな。月宮先生も事務所にいらっしゃるのかも。
 私はひとまず事務所へむかうことにしたのだった。

 いつもは穏やかな事務所が今日に限って事務所のスタッフさん総出で電話対応に追われていました。
 取締役のデスクにいる日向先生も、ずっと電話に出ています。話し声を聞く限りでは、「スケジュールの調整・・・」やら「今日の番組は欠席で・・・」とやらどうやら事務所に所属されてるアイドルたちのスケジューリングでの電話のようです。
 私が、誰にも話しかけられずにわたわたしていると、月宮先生が「ハルちゃ〜ん! こっちこっち」と声をかけてくださいました。よかった。
 戦場のような現場をくぐりぬけて、月宮先生がいるデスクの前にいくと、「ここじゃなんだから。それと、もう幼稚園の方へ向かいましょうっ」と慌てて事務所を後にすることになりました。
「ごめんなさいねえ。バタバタしちゃって。・・・これもぜーんぶシャイニーがあんな実験するからっ」
「・・・じ、実験ですか?」
「ああ、ううん・・・もうこればかりはあなたに説明しても仕方ないわね。とりあえず2,3日ハルちゃんにお願いしたい仕事があるの」
 月宮先生はこのまま早乙女ようちえんの方へいくわよ、と私に告げると、秘密の中庭の方にいくからごめんね、目隠しをさせてねっと私に目隠しをした。ゆっくりと手を引いてもらいながら様々な建物を抜けていくのがわかる。もう方向感覚はわからなくなってしまったので、今自分がどこにいるかは全くわからない。
「はい、着いたーっ!」
 目隠しをされていて、場所はわかっていなかったけれど、ついてからはきゃっきゃっとはしゃぐ小さな子どもたちの声であふれていることに気づいていた。・・・そしてなぜだかその声がとても聞き覚えのある声で、お互いを呼び合う名前にもなんだかとても記憶があるような・・・。
 月宮先生が目隠しを外してくれた場所、そこは大きな幼稚園、のような施設だった。
 外では4〜5歳くらいの子供たちが走り回りながら遊んでいる。・・・ん? やっぱりどこか誰かに似ているようなお子さんたちですね・・・。
「こらーっ、オトくん! ジャングルジムのてっぺんで両手を離さないって言ったでしょう! 落ちたらどうするのぉー!」
「へっへーん、だいじょうぶ、だいじょうぶ! わーい、てっぺんだっ!」
「まて、おとや、おれだっててっぺんいけんだからっ!」
「ああああ、翔くんももうやめてーっ! ジャングルジム禁止にするわよぉ!」
 月宮先生が注意している子供たちふたりをみると・・・なんだか音也くんと翔くんに似ている気がしますし、呼んでいる名前もそのままのような気がします。
 よくわからない状況に追いつこうと頭を悩ませていたら、くいくいっといつの間にか洋服が引っ張られて・・・引っ張られた服の裾を握っている男の子がいます。えーと、あれ。この子はとっても四ノ宮さんに似ています。
「せんせぇ、ぼく、おなかすいちゃいましたぁ」
 ・・・声は幼いですが、声のトーンはとっても四ノ宮さんです。え? ていうか四ノ宮さん?
 今度は少し離れたところで泣き声がっ?
「ひじりかわまさと! このくるまでしょうぶだ!」
「俺はこのヘリで相手をしてやろう」
 もしかしておもちゃで競争しているのは神宮寺さんと聖川様なのでは・・・?
 そして木の下にあるベンチで黙々と絵本を呼んでらっしゃるのはおそらく一ノ瀬さん・・・でもちっちゃい・・・です。
「あの、月宮先生、私めまいが・・・」
「・・・ああ、わかるわかるわよっ、でもこれが現実なのよぉ〜!!!」
 月宮先生からの説明によると。社長が例の博士に依頼して若返りの薬なるものは開発依頼。で、たまたまその開発実験に巻き込まれたのがここにいる幼児になってしまった皆さん・・・なのでそうです。
「記憶は4〜5歳当時のものと、幼児化する前の記憶が混在してるみたいで・・・今はもとに戻す方法を緊急的に探してもらってる最中なんだけど。この子たち元気がよすぎて・・・面倒みきれないってことで、幼稚園をつくってみたの」
 つくってみたのっという発想で出来てしまう幼稚園もすごいですが・・・。
「この子たち、普段からやんちゃで言うことはきかないんだけど、うたの時間になるとすっごくお行儀がよくなるから。しかもハルちゃんが作った曲だとほんとーにいい子なのよっ。だからね、ハルちゃんに暫く面倒見てもらえないかっていうのが今回のシークレットミッションなのよ」
 ぐぐっと月宮先生から過度な期待を寄せられる。私の曲・・・ というのは、えっと、皆さんのために作った曲とかなのかな?
「私も出来る限りフォローはするけど、仕事もあるから・・・えーと、これがこの幼稚園1日のカリキュラム。ぱーっと作ってみたからハルちゃんが好きに変えちゃってもいいから。私これから仕事なのよね。皆が出られない番組に代打で出てこないといけないのよ・・・ああ、身体がいくらあっても足りない! 分身してえ!!!!!」
 月宮先生も疲れているのか、後半完全に男性の声に聞こえました・・・。
 叫んでから我に帰った月宮先生が、なんでもないわよ〜っと取り繕って、じゃ、私行くからっ! 皆のことよろしくねっ〜と簡単にお任せされてしまいました・・・。
 この場合、・・・えーと大人と言えるのは私だけ、ということでしょうか? 一応渡されたカリキュラムを読んでみます。

・・・うん、なるほどこの時間通りに進めていったらいいのかな?
 幼稚園の広場に立てられた可愛らしい時計をみると、そろそろ9時をさそうとしていたので、今はみんな自由に遊んでるようだけれど、ちゃんと見てないと怪我しちゃったりするかもしれないし、大変ですっ。

「みなさ〜〜〜ん、とりあえずこっちに集まってもらってよいですか〜〜〜」

 広場で縦横無尽に走り抜ける音也くんと翔くん、おもちゃで争っている聖川様と神宮寺さん、ずっと私のまわりにぴったりとくっついて離れない、四ノ宮さん、えっと、遠くで絵本を読み続ける一ノ瀬さん。・・・これで全員かなあ?
「まだいるよ。せんぱいが!」
 私がみんなの名前を呼んで、皆いますか? と声をかけたら音也くんが大きな声で手をあげて叫びました。
 せ、せんぱい・・・が? 幼児になってしまった先輩たちもいるってことなんでしょうか・・・ええ、どこに・・?
「おへやにいたよ」
 翔くんが教えてくれます。・・・じゃあ、お部屋の中にいるのかな? じゃあ、みんなお部屋に行きましょうっと声をかける。音也くんと翔くんはそれぞれ手をつないで走っていき、神宮寺さんが聖川様の背中をどんっどんっと押しながら移動しています・・あわわ、転んじゃうからやめよう? と声をかけると神宮寺さんはぷいっと顔をそむけてしまいました。・・・嫌われちゃったかな?
 四ノ宮さんは変わらず私の服の裾をつかんで移動してくれていて・・・えっと、一ノ瀬さんがまだもくもくと絵本を読んでいるので声をかけます。
「その絵本、面白いですか?」
「・・・うん」
「みんなでおへやに入ろうと思うんですけど、一ノ瀬さん・・・え、えっと、トキヤくんもおへやに行きませんか?」
 一ノ瀬さんだと他人行儀になるかなあ? となるべく親しみを込めてトキヤくんと呼んでみる。
「・・・先生と一緒なら行く」
「あ、じゃあおててをつないでいきましょう」
「やだ」
「えっ」
「誰かに見られたら、恥ずかしいから・・・」
「はずかしくなんてないよ。ぼくもせんせぇと手ぇつなぐから、トキヤくんもつなごう?」
 私の服の裾にしがみついていた四ノ宮さんが一ノ瀬さんにむかって私の手を引っ張って差し出して、はい、せんせぇとおててつないで〜とふたりの手をゆっくりと結びつけてくれる。一ノ瀬さんはぷい、と顔を横にむけてしまったけど、ようやくついてきてくれました。

 ふう、と私はほっと一安心して皆さんが先に向かった教室へ向かうと・・・。そこには、小さくなった4人の先輩方がいらっしゃいました。
「あああっ、先輩方まで・・・小さくなられてしまって。え、え、と、れ、嶺二くん、藍くんに、蘭丸くんに、カミュくん・・・?」
「急に馴れ馴れしい呼び方で呼ばないでよね」
「後輩ちゃ〜〜〜ん、ぼくのことはれいちゃんで構わないよ〜〜」
「嶺二うるせぇ、そのマラカスどっからもってきたんだ、捨てろよっ」
「カミュくんとは一体どういうつもりだ貴様」
 あれ!?
 もしかして先輩方は、他の皆さんと違って記憶があるのでしょうか・・・?
「あの、先輩方・・・皆さんもしかして、記憶があるのですか?」
「・・・どういうわけか知らないけどね。ショウやナツキたちとは違って、身体だけ小さくなったみたい」
「この子供用のマラカスちょ〜〜楽しい」
「だからうるせぇっつってんだろ! あんまりでけー声出させんな、腹減るっ」
「こら女、コーヒーを出さんか!」
・・・ああ、いつもの調子の先輩方がこんな小さな身体で・・・。小さい頃はこのような姿で遊んでらっしゃったんでしょうか? 皆さんとてもかわいいです。

途中まで書いておわりというわっはっはむりです
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